石徹白暮らし体験談 上村康子さん - 第三号:2009年10月
今回は、石徹白にお嫁に来て、子育てをし、かつ地域の会社でお仕事をしている上村康子(やすこ)さんにお話を伺いました。インタビューへの初の女性の登場です!
石徹白移住を企んでいる私としては、子育てのこと、生活のことなど気になります。いろいろと率直に教えていただきました。
石徹白に住んでみたい方へ
今回は、石徹白にお嫁に来て、子育てをし、かつ地域の会社でお仕事をしている上村康子(やすこ)さんにお話を伺いました。インタビューへの初の女性の登場です!
石徹白移住を企んでいる私としては、子育てのこと、生活のことなど気になります。いろいろと率直に教えていただきました。
―――石徹白に初めて来たときのことを教えてください。
私は各務ヶ原市出身で、主人は石徹白出身。そのときは、主人は岐阜で働いていました。
石徹白には結婚する前に主人に車で連れて来てもらいました。車でどんどん北のほうに走って、美並くらいのところで私が「まだ着かんの?」って聞いたら「まだ半分くらいや」って。美並で半分・・・?って正直驚きましたね。
それで白鳥くらいまできて、そろそろかなって思って。「あとちょっとや」って主人は言ったんですがどんどん峠の山道を登っていくし、この先に本当に家があるのか・・・ってちょっと不安になりました。
―――そうですよね・・・。ちょっと心配になりますよね・・・。
そう、でも、石徹白に着いたら家がたくさんあってぱーっと開けていて。びっくりしました。
―――今は石徹白土建で働いていらっしゃいますが。
はい、私が来たころ社員を募集していたので。私は学校を卒業したばかりだったので、石徹白土建が初めての就職先です。石徹白は雪が深いところだけど、地域の中に働く場所があれば通うのも問題ないです。ちゃんと除雪してもらえるから大丈夫。
―――ご家族の構成を教えてください。
私たち夫婦と、主人の両親、主人のお兄さん、そして子供が2人です。7歳と4歳で2人とも女の子です。
―――石徹白で子供を産んで育てられたんですね!
子供ができて妊娠中なんかは特に、おなかが大きいのに峠を越えて病院に、しかも雪道を行くのは怖かった。それに子供が小さいときはよく熱が出たものだから病院に連れていくのが大変なときもありました。
―――石徹白だと、どこの病院に行くのですか?
ここから30分くらいの白鳥の町にある白鳥病院か、石井医院か・・・。石井医院は6時半までやってるから仕事終わった後に連れていったりしました。あ、郡上八幡まで行く人もいますね。
―――確かに、病院のことを考えると大変ですよね・・・。
そう。病院だけではなくて、子供のお稽古事も少なくて。うちの子は今ダンスに興味があるから、白鳥のダンス教室に見学には行っているんだけど、なかなか送り迎えが大変で。でも白鳥までピアノとかサッカーとかに行っている子もいるんです。
―――石徹白でも習えるお稽古事ってあるんですか?
ありますよ。民謡の教室が冬以外はありますね。先生が白鳥から来られていて。うちの子は入っていないんですけど。
―――石徹白ならではのことっていろいろありそうですよね。
そう。石徹白で子育てはすごくいいですよ。特に、外で子供が自由に遊ぶことができる。町だと公園もないようなところもありますよね。うちは、前に川があってそこで子供たちは遊んでいます。そういうときにね、私が見れなくても、近所の人がちゃんと見てくれてて。危ないときは「危ないよ」って声かけてくれるし、近所の人が「あそこにいたよ」「ここにいたよ」って子供の居場所を教えてくれるんです。
―――そういうのって、都市にはないことですよね。いいな〜。
―――石徹白ならではのことで、私がいつも気になっているのが郷土料理なんですけど、作ったりするんですか?
いやぁ、食べますけど、うちは母が元気なので作ってもらってます。
―――いいですね!!どんなのがあるんですか。
えごまもちは母の得意なものです。おはぎのアンコの部分がえごまになったやつでおいしいんです。
―――私も食べたことがあります。初めて食べたとき感動しました!やみつきになりそう。
今は上在所の青空市にも出させてもらってます。リピーターもいて、人気があるんですよ。
―――保存食みたいなのもありますよね。
にしんずしと肉の漬物。来月、再来月になると冬に向けて仕込み始めるみたいです。
―――肉の漬物って珍しいですよね。
そう。私もこっちに来て初めて。肉は家によっていろいろみたい。牛とか豚とか。うちは鶏肉を使ってます。野菜も、白菜をベースに、うちはカブとかニンジン、にんにくを入れて。漬かったら、それを焼いて食べるの。
―――にしんずしも、石徹白で初めていただきました。
それも家によって味が違うみたい。うちは大根を細切りにしてにんじんとにしんを入れる。それで麹を入れて発酵させる。
―――発酵食品だけど、あんまり臭みとか気にならないですよね。
そう、私も何の抵抗もなく、はじめから食べられました。子供も好きで。肉の漬物なんて、他におかずがいらないくらいごはんが進みます。
そのうちには私も母から教えてもらおうと思ってるんだけどまだまだ・・・(笑)
―――でも、保存食の知恵があるから石徹白は雪が深いけど食を楽しめそう。食事のための食材って、年間通してどうしてるんですか?
夏場は、両親が野菜をつくってるからほとんど自給できるくらい。冬はじゃがいもとか白菜をとっておいて保存しておいて食べます。あと、生協のトラックも来てくれるからそこで注文したり。でもまあ、必要なものもあるからだいたい1週間に1度峠を下って白鳥に買い出しに行ってきます。毎日行くのは面倒くさいし、大変だから。
―――大量に買い込むんですね。
そう。だから大型の冷凍庫があります。冷凍専用の。夏のものとかも、湯がいて冷凍しておく。買い出ししたものもね。石徹白だと専用の冷凍庫を持っているところ、多いんじゃないかなぁ。
―――なるほど。冷凍庫が必要なんだ。他の地域で住むのとは違うことが色々あるんですね。
私は町のどやどやしているのがもともと好きでないから、石徹白は過ごしやすいです。自然と一緒に生活できるし。そういうのが好きだったらぜひ来てもらえれば。例えば、百姓しながら趣味でスキーしたい人とかいいと思う。季節ごとの移り変わりも美しいし。まあ、不便なのは医療のことだけ。
―――小学校も充実しているみたいですよね。
少人数で、先生が一人一人に対して丁寧に接してくれます。今は児童は12人。保育園は4人・・・。せめて小学校のうちまでは、石徹白にいさせてあげたいですね。
―――そうですよね。これからも小学校は続いてほしいですね。
人口も増えてほしいけど、どかっといきなり増えすぎると石徹白らしさがなくなるけど。 でも、親さんの働く場の都合がついたら、子供さん連れで来てもらえるといいなと思います。
―――私もそうしたいです〜
次に続いてねー。プレッシャーは感じないでほしいけど(笑)
―――はい、がんばります!!
ということで、石徹白での生活のこと、子育てのこと、仕事のこと、いろいろと伺うことができ、とっても勉強になりました。石徹白で暮らすことにリアリティを感じさせてもらえるインタビューでした。康子さん、ありがとうございました!
聞き手:平野馨生里